と、私がメモを見つめていた

その時だった。


…コンコン!


(!)


誰かが、玄関の扉を叩く音がした。


(ウサギさん、帰って来たのかな?…それとも、お客さん…?)


扉に駆け寄り、私は玄関のドアノブをひねる。


キィ…!


「!」


すると、そこに立っていたのは予想外の人物だった。


「お、オズ……?!」


紺碧の髪に、エメラルドの瞳。

整った外見には見覚えがある。

それは昨日、オークションで出会い、私の窮地を救ってくれた青年だった。

私の顔を見た瞬間。

オズは眉を寄せて低く言う。


「“昨日はどーも”。」


(うっ…!)


彼の目は笑っていない。


「まさか、あんたにまた会うとはな。…ずぶ濡れにされた挙句、湖に置いてけぼりって、どんな仕打ちだよ。」


「…その件に関しては心から申し訳ないと思ってます…」


視線を合わせづらく目を泳がせていると、彼は固い表情のまま私に尋ねた。


「あんた、確か“エラ”って言ったよな?どうしてウサギの家にいる?」


「っ!…え、えっと…」


明らかに疑うような視線。

私はなんと言っていいのか分からず、ぎこちなく答える。


「…ウサギさんに誘われて、ここに住むことになったから…?」


「!」


オズは、目を見開いた。

そして、どこか怪訝そうに私を見つめる。


「…あんた…まさか、ウサギの恋人なのか…?」


「違いますッ!!!」