すると、カンカンカン!という乾いた木槌の音が響いた。


『ハンマープライスです!こちらのオルゴールは、84番の方が43万ダイヤで落札されました!』


(よっ、43万?!たかがオルゴールで…?)


「アリス。今、“たかがオルゴールで”、とか思ってないよね?あれ、すごくレアなお宝なんだよ?」


「っ!思ってない思ってない。」


ウサギさんにちらり、と横目で見られ、私はぶんぶんと首を振る。

想像してたよりも本気の競り合いのようだ。

するとその時。

オークションの支配人らしき燕尾服の男が、ばっ!と舞台袖へと腕を伸ばした。


『さぁ!皆さま、お待たせいたしました!今夜の闇市の目玉の登場です!』


「「!」」


ガラガラと、綺麗なお姉さんが品物を台車に乗せて運んでくる。

どくん、どくん、と緊張が高まる。

そして品物がライトに照らされた瞬間。

私はつい、声をあげた。


「!っキタ!!!!」