(…あ…)


その時、ふと昨夜の記憶が頭によぎった。

白い髪の青年の姿が目に浮かぶ。


「そうだ、オズ。あの…ちょっと聞きにくいんだけど…」


「?」


私は、ガーデンでの衝撃的な光景をちらちら意識しながら尋ねた。


「男の人って、付き合ってない女の人と簡単にキス出来るものなの?」


「げほ、ごほ、ごほッ!!」


突然、紅茶を飲んでいたオズがむせた。

きょとん、と、してまばたきをすると、オズは険しい顔で声を上げる。


「で、出来ねぇだろ、そんなの!」


「だっ、だよね!普通そうだよね…!」


必死に動揺を押し込めている様子のオズは、はぁ、と深くため息をついて続ける。


「…何で急にそんなことを聞くんだよ。」


「えっと…昨日、ウサギさんが女の人と、き…キスしてるところを見ちゃって…」


「ふーん。」


興味なさげに目を細めるオズ。

“同志”の契約を結んで、初めてオズに流すウサギさんの情報なのだが、“初恋の彼女”に関係ないことは必要としていないらしい。

私は、おずおずと口を開く。


「ウサギさんが昨日のパーティに来てたなんて知らなかったから、見ちゃったのは偶然だったんだけど…」


「!」


その時。

急にオズの顔色が変わった。


「昨日、ウサギに会ったのか…?!」