「…ん…」


陽の光を感じて、ゆっくり目を開けた。

ぼんやりとする中、視界に映ったものをゆっくり眺める。


(あれ…?ここ、ウサギさんの家…?)


体を起こすと、ぱさり、と薄い毛布が体から滑り落ちた。


「あっ、おはよー!エラ!」


その時、ガチャ、と、部屋の扉が開き、ネコミミのフードを被ったチェシャが現れた。

ぴこぴこと動く尻尾にくすり、と微笑み、私は彼に声をかける。


「おはよう、チェシャ。…この毛布、かけてくれたの?ありがとね。」


すると、彼はきょとん、と、して答える。


「僕は今帰ってきたんだよ?昨日はずっとイモムシの旦那の所にいたからね。」


(え…?)


どきん、と胸が鳴る。

もちろん、私が自分でかけたのではない。


「ウサギさんがかけてくれたのかな…」


ぽつり、とそう呟く。

すると、チェシャは急に真剣な表情を浮かべ、ぼそり、と言った。


「…ウサギは帰ってないよ。“トレメイン”のところに行ってるから。」


(…?“トレメイン”?)