すると、カグヤが、ぷはっ!と吹き出した。
「なんだシラユキ。お前、女と間違えられて連れてかれそうになったのか?」
「からかわないでよ、もう!」
(…シラユキくん、ちょっと不機嫌になってる。)
中性的で整った外見をしているシラユキくんが目をつけられるのは無理もない。
まぁ、彼の“不運”が引き起こした悲劇とも考えられるが。
…と、その時。
何かを思い出したようなシラユキくんが、はっ!と呟いた。
「そういや、オズが言ってた“笛があるかもしれない場所”って、伯爵の屋敷じゃなかったっけ?」
「え?!」
つい、声を上げる私。
すると、腕を組んだカグヤが息を吐いて口を開く。
「…シラユキ。それ、“エラには言うな”、ってオズに口止めされてた情報だろ?」
「えっ?!!!」



