オズは「心当たりがないならいい。」と、目を細める。

その時、彼はふいに、まつげを伏せて呟いた。


「それと…。あんた、あの黒ウサギをあんまり信用しないほうがいいぞ。」


「え…?」


はっ、とオズを見つめると、彼は静かに言葉を続けた。


「あいつは、何かを隠してる。…ただの“勘”だが…、俺はあいつを信用できない。」


“どこか、闇の匂いがする”


そう言ったオズに、私は何も言い返せなかった。

ウサギさんを庇えるほど、私は彼について知らない。

危ない遊び好きな彼を庇うつもりもない。


(いい人だとは思うんだけどな…)


私には、“危機管理能力”が欠けているらしいから分からないのだろうか。

そんな私をよそに、オズはどこか真剣な表情で何かを考えていたのだった。