くるり、と枕が飛んできた方へ視線を移すと、オズは再び毛布にくるまり固まっている。
ぴくりとも動かない。
「…オズ…?」
「…何だよ…」
毛布からちらり、と見える耳が赤い。
彼は私にバレたことがよほど恥ずかしいのか、こちらを見ようとしなかった。
「初恋の女の子のことを聞こうとして、笛を探してるの?」
私は、面白がって彼に尋ねる。
「………悪いかよ………」
聞き逃すほどのトーンで毛布の中から声が聞こえた。
あれだけ頑なに笛を探してる理由を教えてくれなかったのは、単に恥ずかしがってただけらしい。
(こ、この人可愛い……)
「オズって、人を好きになったことあったんだね。」
「…あんたは俺を何だと思ってたんだよ…」
オズは基本ぶっきらぼうだし、優しいけど紳士的なわけじゃないし、人とのコミュニケーションがずば抜けて得意そうなわけでもない。
むしろ、結構静かで落ち着いた雰囲気のある人だ。
私や仲間に怒る時も、声を荒げることはまずないし、喋り方も結構クールなイメージだった。
「私、勝手に、オズは女の子とか恋愛とかに興味ないんだと思ってたから…」
「別に興味があるわけでもねぇよ。」



