「あ!いらっしゃい、エラちゃん!」


不思議の森での出来事から1週間後。

私は、小人たちの案内でオズの家へとやって来た。

そこは可愛いログハウスで、シラユキくん達幼馴染みの集まる“アジト”でもあるらしい。

笑顔のシラユキくんに出迎えられながら、おずおずとログハウスへ足を踏み入れると、そこは想像よりも片付いている綺麗な部屋だった。

どうやら、奥は寝室らしい。


「オズはまだ寝てるの?」


「うん、熱は下がったけどね。」


シラユキくんは、カチャ…、とティーカップをトレイに乗せながらそう答えた。

私は、静かにオズのいる部屋へと入る。


「…失礼します…」


一応ノックはするが、反応はない。

そっ、と覗くと、彼はすやすやと寝息を立てている。


(…可愛い寝顔だな…。)


無防備な彼はいつもよりどこか幼く見える。

と、つい彼の寝顔に見惚れていた

その時だった。


「…ん…」


「!」


小さく、オズが身じろいだ。

シーツが擦れる音とともに、エメラルドの瞳がゆっくりと見開かれる。


(…!)


焦点の合っていない寝ぼけた瞳が私を映した瞬間。

オズの瞳の奥に、わずかに“陰り”が見えた。


(…?)


バサバサッ!!


反射的に一瞬で起き上がり、警戒する視線をこちらに向けるオズ。

しかし、彼は私だと認識した途端、ほっ、と息を吐いて呟いた。


「…あ、あんたか…。びっくりさせんな……」


「っ、ごめん…!」