チラッと周りを見ると、結構人が集まっていた。 それを知って、顔の熱が上がる 人の中には、缶にお金を投げている人がいる これで生計を立てているのかと気になったけど聞く勇気はなかった 「そこの迷えるお嬢さん。手を出してください」 何事かと思って、両手を差し出した。手品師は、ハンカチを取り出してまた指を鳴らす。 「どうぞ、お受け取りください」 私の手には赤い薔薇が一輪、握られていた