俺は彼女の細い足から手を放す。

「祐太…怒ってた…」

彼女は悲しそうに目を伏せた。
ああ…かわいい。
でも、この顔は祐太に対する感情からのもの…。

君の瞳は俺だけを映してくれればいいのに…。


俺は彼女をそっと抱きしめた。
小さく、薄っぺらい背中。
君は、この背中でどれほどのものを背負っていたのかな…。

「落ち着いて、君には俺がいる。」

鈴は最初は嫌がったものの、のちに彼女は俺に体を預けた。

「……うん。樹君は優しいね。昔みたいに私のこと元気づけてくれる。」