案の定、残り2分で12対9
俺たちが負けている。

「いっくんー!!」

小さなスズのように消え入る声。
でも、俺と樹には聞こえた。

大勢の女が俺と樹の名前叫ぶが、その中でも彼女の声は鮮明に聞き分けられた。

…よりによって、なんで樹なんだよ。
いつもは俺を一番に応援してたのに…
俺のことが一番好きだって言ってくれたのに…

俺は苛立ちのあまり、間宮先輩からボールを奪い、そのまま3Pシュートを決めようとするが、ボールは思いっきりボードに当たり、跳ね返ってきた。

…俺には樹がやった3Pシュートが決められない…。