「あ、そっか。」
樹君は悟ったように頷くと、腕を大きく広げ、私を腕の中に収めた。

「い、いつきくん!私、汗のにおいするから!」

私はジタバタと暴れるも離れる様子はない。
「いいにおいするよ。」
樹君は私の首筋に顔を埋めた。

「ねぇ。俺と目があったの気づいた?」
耳元で囁かれる低い声。

私は小さく頷いた。
「そっか。俺、ちゃんと勝てたよ。」

「うん。かっこよかったよ。」
私は少し照れながらも答えた。