はっぴーえんど。

え…

一瞬、樹君が私のほうを見た気がした。
…気のせいだよね。

一瞬の隙をついて、間宮先輩がボールを取ろうとする。
…あ、やばいっ!

「いっくん!」

いつの間にか私は叫んでいた。
黄色い声でも絶叫でもない。
条件反射で叫んだ声。

みんなの視線が刺さるけど、そんなの気にしていられなかった。

樹くんは口角を上げた。

そして、先輩に背を向けた。
そのまま振り返り、3pシュート。
ボールはきれいな弧を描き、ゴールに吸い込まれた。