樹くんの優しい言葉に私はわざと、聞こえないふりをした。

「樹くんは私を守るために監禁してたんだね…親に合わないように、してくれたんだね…」

樹君を見ても何も言わない。

「俺は鈴に隣で笑っていてほしいだけなのに…」
樹君は私の前で久しぶりに涙をこぼす。
「お願い…もう心配させないで。もう、俺の前からいなくならないでよ…」


私を必要としてくれるのは樹くんだけ。
…なんで、気づかなかったんだろう。

…私の存在意義は貴方だけ。


「私…樹くんにしか必要とされてないみたい…だから、もし、樹くんが私のこといらなくなったら…私のこと…殺して。」

「大丈夫、俺は君を殺さないこら。」

樹くんは私の唇に口付けを落とす。

「…さぁ、帰ろう?」

樹君は私をお姫様抱っこした。

「俺のお姫様は随分やんちゃだね。」
樹くんは悲しそうに私の足を見た。
血が滴り落ちている。

「……樹くん…ごめんなさい。」

樹くんは微笑んだ。
私はこの温もりが欲しかった…。
ずっと、誰かに愛して欲しかったのかもしれない。