俺は軽く舌打ちをした。

「おいっ。その態度はなんだ。お前は神崎家の者だぞ。もっと意識をもてっ!それにその髪!その装飾品はなんだ!」

…そんなこと言ったって、俺は親父との不倫相手の子供だろ。
…神埼家とかめんどくせーんだよ。

「樹が本邸に帰ってきたんだから俺にはもう用ないはずですよね。」

そう言うと、祖父は少し怖じけずいた。

ほら、図星。

こんな家、俺はいつになっても好きになれない。
有名な国立大学さえ卒業すれば誰も何も言わないだろう。

…あと、1年。

そしたら、俺はすぐに出ていってやる。