私は樹くんの家のインターホンを押した。

…反応がない…。
玄関のドアは空いていた。


そっと中に入ると、リビングには樹くんの姿。

「おかえり、鈴。」
ソファに寄りかかる樹くんは、心做しか怒っているように見えた。

「あ、あの…樹くん…「ねえ、どこに行ってたの?」」

お、怒ってる…樹くんはソファに座っているから後姿しか分からないけど、機嫌が悪いのは分かる。

「家に帰って…お母さんとお父さんと話してきたの…私、家に帰れるの…だから…」

「…俺とは暮らせない?」

樹くんは不機嫌そうに呟く。
私は樹くんの前に行って、顔を見る。

樹くんは泣きそうな顔で眉をひそめた。