夜8時にインターホンが鳴った。
…こんな時間に誰だ…?

玄関のドアを開けると、両手にビニール袋をぶら下げた制服姿の鈴。

「鈴…?」
来てくれるのは嬉しいが、少し様子がおかしい。

「どうしたの…?」
俺は子供をあやすような口調で君に声をかける。
それでも、君は首を横に振るだけ。

「とりあえず、家あがって。」
俺は鈴からビニール袋を受け取ろうとしたが、離してくれなかった。

「これは…大丈夫…。」
鈴は小さな声でそう言うと、靴を脱いだ。

「こんな時間にごめんなさい…でも、家に帰りたくないの…。」
君は絞り出すように言う。