「あれ、神田鈴さん…?」

久しぶりに聞いた名前。
私は驚いて声のするほうを見た。

私が座っているからか、声の主は大きく見えた。

「え…っと…」

「あ、人違いだったらごめんね。知り合いに似てたから嬉しくて…」

ふにゃっと笑顔を見せた彼。
よく見ると、艶のある黒髪に切れ長の目…

これは、女子が放っておかない顔…

「ううん。私、前の苗字は神田だよ。あなたは…?」

こんな人、全く記憶がない…