小学6年生になり、あっという間に卒業の季節になった。

そんな時、また父が別荘にやってきた。
「お前を私立の中学に入れる。」
…そう言ってきた。
鈴ちゃんと会う前の俺なら黙って頷いていたかもしれない。
むしろ、父親に必要にされていると感じ、喜んだかもしれない。

…でも、今は違う。
「俺は公立の中学に行きたい。」
鈴ちゃんの近くにいたいんだ…。

「そんな我儘きいてられるか。」
父は俺の話には耳もかさない。

「じゃあ…俺が父さんの言う中学でまともな成績取り続けたら、俺の好きな高校に行かせて。」
初めて父にお願いというものをした。

父は少し難しそうな顔をしたが、頷いてくれた。