はっぴーえんど。

その夜、珍しく父が別邸に来ていた。

「おい、樹、話がある。」

ざっくりまとめると、話とは、父が会社の後継者を俺にしたいと言い出した。

「俺には、そんな力量ないよ…。」
今日、気づいた。
鈴ちゃんや兄のような人を惹きつけ、先頭を行く能力なんてものは無い。

「神埼家の者がそんな弱気でどうする!」
そう言って、父は何度も俺を投げ飛ばした。

「…父さんだって本当は兄さんに継いで欲しかったんだろ。」
ポロッとでた言葉。
これに父がきれるのがわかった。

気づいた時には腹に蹴りを食らわせられ、意識が遠のく。

……鈴ちゃん、俺、君みたいに頑張れないや。