「樹さん、琴のお稽古が終わって、いつもどこに行ってるんですか?」

とうとう、使用人にバレた。

「まぁ、ストレスもたまるでしょうし、見逃してあげます。でも、お稽古に支障が出たら旦那様に報告しますからね!」

…よかった…。
いつの間にか、君と過ごす夜の時間はほぼ毎日になっていた。
俺が10時頃に家を出て、公園につくと君は10分くらいしてやってくる。

松葉杖をついて、ゆっくり…ゆっくり…。

でも、その日は何か様子が変だった。

「い、いっくん…。お母さんと…お父さんが…!」
君は今にも崩れそうに俺にもたれかかった。

俺は躊躇いながらも、君の背中に手を回し、摩った。

君は嗚咽混じりに泣き出す。

「私のせいで…」