でも、彼女の瞳は俺を捉えて逃がさない。
その純粋さに俺の心は挫けた。

「俺も…ずっと気になってたんだと思う。」

少女は嬉しそうに微笑むと俺が座る横に腰掛けた。
二人がけのベンチがギシッと軋んだ。

それから、俺と少女は他わいもない話をした。
好きな食べ物。好きなこと。好きな教科。嫌いなもの。最近あったこと…。

君は決して家族のことを話さなかった。
そして、俺の家族のことも聞かなかった。
…だから、君といる時は気をはらないで一番楽だった。