体育館裏につくと鈴と裕太の楽しそうな声が聞こえる。

「ほんとに身長伸びねーな。」

「ぶー。小学生の時は私の方が大きかったもん。」

「低学年の時だけだろ。」

俺と話す時よりも饒舌な鈴。
…やめろ。
……鈴は俺のものだ…

気づいたら俺は二人の間に飛び出して鈴を抱きしめていた。

振り返り、裕太を見た。
裕太は俺を睨みつける。

「い、樹くん!?」
鈴は俺の腕の中でバタバタと暴れるも、すぐに大人しくなった。

「少しだけ待っててね。」
俺は鈴の耳を塞ぎ、裕太に話しかける。

「鈴は俺の彼女だよ。」

「……わかってる。でも、泣かせるなら俺が貰う。」

悔しいけど、君が泣いてる理由を知らない。
俺は鈴の耳から手を離し、涙を拭う。

「…ごめんね。」