…チッ。
俺は小さく舌打ちをした。
さっき見えた鈴の姿が見えない。

鈴には汗臭い俺で会うのは気が引けた。
だから、制汗剤を取りに行こうとしたら、やたら煩い女達が俺や先輩、裕太を囲んだ。

今すぐ蹴散らしたい衝動に駆られる。
しかし、脳裏によぎるのはオヤジの言葉。


『お前がその高校に行くなら…3つの条件がある。1つは3年間主席をキープすること。2つめは生徒会長になること。3つめは私の指定した国立大に合格すること。…これが無理なら即転校、又は私の会社を継いでもらう。』

悔しいが、ここで雑にあしらうわけにも行かない。

「ごめん、俺、これから用事があるんだ。」
適当に笑っておけば簡単に道を開けてくれる。