「 陸は俺の敵だ。


あいつが所属してる暴走族と俺の族は敵対関係にあったんだ。 」


は? 、敵??


「 美奈帆ちゃんはあの日、暴走族同士の喧嘩に巻き込まれてしまった。


俺は陸に撃たれ、気を失ったんだ。


だから怪我した美奈帆ちゃんを助け出すことができなかった。


仲間たちが代わりに君を助けようとしたんだが、陸の仲間に返り討ちにされてっ……… 」



悔しそうな口調に、その仲間たちがどうなったか訊こうとは思わなかった。


「 美奈帆ちゃんか記憶をなくしたのをいいことに、あいつらは君を人質にしている 」


………嘘だっ



陸くんの仲間の人たちは毎日、何時間も私を守るために…………ずっと。






_________だけど、もし。


もし仮に、私の本当の恋人だというこの人の言ってることが正しければ……


どうだろう。



私は上手く陸くんたちに騙されてることになる



護衛じゃなくて、監視だ。



「 でも陸くんを、私は好きになったんですよ



あなたの敵だというのなら、私が好きになるはずが 「 それもあいつらの策略だとしたら?

陸は女を口説くのがうまい。



なんの気なしに、ふとした瞬間から好きになってたんじゃないのか 」


言われてみればそうだ。


私が辛いとき、心が弱ってる時



いつも陸くんがそばにいた。


それは何気ない優しさで、私はいつしか愛情と勘違いしていたんだ。



巧みな話術で陸くんは私を、陸くんの事を好きになるようにさせてた。