姉貴は俺のもの



ちょうど大きい水槽の前に座るところがあって、サメとかカメが見れる。



暗闇に水槽の水が館内の光によって反射されたものが浮かんでいた。



魚を見るのも良いけど、こういうのも良い



ぼーっとゆらゆら揺れる模様を眺めて休憩していると、

近くに立っていた陸くんが微笑んだ。




「 ………何よ 」


「 いや。 」



否定してはまた、口角を上げて笑っている



「 なんで笑うの? 」




「 _______別に


どこ見てんのかなって思っただけ 」


「 はっ?」


片眉を下げ、陸くんの表情をまともに見た。


それはそれは物珍しそうに、でも面白そうに笑っている



……………気に食わない


「 ……天井だけど 」


ふいっと顔をそむけて、言った。


「 前に見るもんがあるのに? 」


そうだけどと頷いてみせると、

視界の隅で陸くんが肩を上下させている。



自然と目線が天井から陸くんへと釘付けになった。


「 何がそんなにおかしいの?

天井も綺麗なんだからしょうがないじゃん 」



「 天井がかよ 」


むッとしながら首を強く縦に振る


「 フッ、なんてか独特の感性だな____ 」


「 そうかなっ みんな見てるで………… 」


強気で言って後悔した。



ざっと見渡される場所にいる人だけでも、全員目の前の水槽に視線が向いてる



「 _____どうして

綺麗なのに 」


ぽつんと呟くように言う



「 確かに綺麗だけど……

言われなきゃ分かんねぇんじゃね? 」




陸くんの横顔は先ほどまでと違い優しく笑ってるようで、

私は胸がドキッとした。