姉貴は俺のもの

陸side



事が落ち着くまで自宅に待機するよう言われ、俺と美奈は1ヶ月近くずっと家の中に篭っていた。



最初の方は面白みがあった生活も、

同じことの繰り返しのせいで…………


「 空井くーーん


暇なんだけどーーー 」


この有様だ。


眉をひそめ、怒りを押し殺すような表情を浮かべながら

椅子の上にあぐらをかいて携帯をいじり続ける



「 てかさ、いつになったら私が守ってもらわないといけなくなった訳を教えてくれるの? 」


病院から帰った後も、耳にタコができるほど訊かれた。



「 美奈が知る必要のないことだ 」


「 ふーーーっん、あっそ。


だったらいい加減自分の家に帰ったら? 」


ここがそうだ。 ………とは言えない


「 馬鹿か。

何度も言わせんな、美奈の警護のために帰れない 」



「 でたでたッ
私、そんなに馬鹿じゃないと思うけどなぁーー 」



「 馬鹿だろ 俺よりかは 」


俺の学力にも勝てないし


全てにおいて美奈が俺に勝るものはない


…………まぁ、あるとしたら可愛さぐらいだが。



「 だったら、せめて外にいる人たちには帰ってもらって?


外の景色みようにも、いつ窓を開けても私に顔を出すなって下から命令されるんだもん 」



何もかも監視されて気分が悪くなるのも仕方ない



だけど、それも全部美奈のためにされてることだ。



ちゃんと話とかないと、今の美奈なら

気づかないように逃亡する可能性があるな…



「 高槻 」


ポツリと名字を口にすると、美奈の肩がわずかに震えた気がした。


「 それに美奈帆ちゃん。」



「 ちょっ、なんの嫌がらせ? 」



自分を抱きかかえるようにして、顔を青白くさせた美奈