姉貴は俺のもの



一人きりの部屋で深呼吸をしながら、

初めて乗ったバイクでの景色を思い出しているとだいぶ心が落ち着いてきた。



おそらく体調が悪くなったのは、この部屋に記憶を失ったきっかけが存在してるせいなのかもしれない



けど今は、それを深く追求し良いとするだけで頭が痛くなる


まだまだ晩御飯までには時間もあるし…………



暇になった私は、伏せていた顔を上げて

うつ伏せの状態で顎を布団の上にのせた。



「 さっきは病院で空井さんって呼ぶ。


なんて言っちゃったけど、さすがに呼びづらいな…… 」


空井 陸______


陸くん。




いい名前だなぁ 響きがいい



……ていうか、呼びやすいな。


「 ………り、く。 くんッ


りく、くんッっ 」


みるみるうちに顔が火照ってきた。



枕に顔を埋める




とてもじゃないが、記憶のあった自分が陸と呼んでたとは信じられない



そもそもこれだけで心臓が持ちそうにないほどバクバクしている



____相手が居ないのに、だ。



「 いつか……… 」


陸くんって呼べるかな。


呼びたいな



苗字とかじゃなくて下の名前をっ。