姉貴は俺のもの




___なんにしても不利だ。


こっちは記憶が一つもないっていうのに、
相手にはスラスラ口に出していた敬語に違和感を覚えていることがバレている



て事は、これから先もこういう事が多々あるってこと___


恋人であれ、年下に馬鹿にされたくない。


…………よし。


「 空井さんっ!


そう呼んでやるんだからっ 」


笑いながら怒るのを期待していたのに、眼差しがどこか悲しそうで……



地雷を踏んだかもっ



「 ごめん、冗談 「 ハッ、俺をさんで呼ぶとは勇気あるよなーー 」



謝ろうとした私の言葉に重ねて話してくる



「 せめて何もつけずに呼べよな。


お前、前は陸って呼び捨てにして呼んでたんだからよ 」



「 え、あっ。 ごめん 」


わざわざ気を遣ってくれた。


さん付けで呼ばれたことが嫌そうだった分、余計に申し訳なく思った。