ーびくびくっ


ついつい体が反応してしまう。

体中が鳥肌で包まれる。


なぜなら、扉が開くと背の高い男の人たちが見えたから。


わたしはある事件をきっかけに男の人を見たり、触られたりすると発作が出てしまう。

でも、鳥肌はまだ軽い方で酷いときは………やっぱいいや。




「「「「「失礼します」」」」」


「「こんちゃーす」」



ドアを開いて入ってきたのは6人の男の人だった。


わたしの耳で聞き分けられたのは7人のう2人は「こんちゃーす」と言っていた。←ダメだよ。


わたしは男の人を見て素早く涼ちゃんの後ろに隠れた。


涼ちゃんはなぜか顔を赤くして口をパクパクさせて何か言いたそうだった。


もちろん涼ちゃんも、わたしが男の人が苦手ってことは知っている。


「理事長。何のご用ですか?」


背が高い男の人が言った。って言ってもわたしから見れば全員大きいけど。


「ああ。お前たちを集めたのは私の息子を紹介しようと思ったからだ」


息子?あぁ、わたしのことか。


「理事長の息子〜?理事長にそんなやついたっけ〜?」


今度は金髪に近い茶色の髪の人が、気だるげそうに言った。


「お前たちに話すのは初めてだからな」



するとお父さんはアイコンタクトでわたしに「自己紹介をしなさい」と言った。


む、無理ッ!こんな男の人の前で、しゃ、喋れないよっ…!



わたしもまたアイコンタクトで「無理」と伝えたいが、首を振られ拒否された。


もう自分で頑張るしか…。


頑張れ、わたし。


男の人全員の視線がわたしに注がれる。


ッ…やっぱ無…


ーぎゅ




隣にいた涼ちゃんの大きな手がわたしの手を包んだ。


涼ちゃん…、





ありがとう。






「さ、早乙女…夏…稀で、ですっ」


言えた!何年ぶりだろう男の人に喋ったのは。


と、心の中でガッツポーズをしていると



「頑張ったな、夏稀」


隣から涼ちゃんが小さな声で言った。


「涼ちゃんのおかげだよ」


わたしも笑顔で返すと涼ちゃんの顔が赤くなった。


「涼ちゃん?顔赤いよ?」


「…〜っ\\\…ほんと昔から夏稀には敵わないな」


「????」


「ぷっ…いいんだお前は知らなくて」


なんだか一人で笑っている涼ちゃんはなぜか幸せそうだった。



「ちっちゃいし、なんか女みたい」

なーんてわたしも幸せに浸っていたら、男の人が突然話しかけてきた。



「ふぇっ?!そんなんじゃ…」


「ふはっ、声も女っぽいし」



「おい、夏稀は男だ」



涼ちゃん…。


「あぁ、そういうことだ。みんなよろしくやってくれ」



「理事長がいうならさー」



「今は時間がないから、自己紹介は各自でするよう。あと涼太と夏稀と夢斗は少し残れ。以上。解散」




次は何を言われるのだろう。


しかも、涼ちゃん以外の人もいるし。


… 夢斗さんだっけ…。 なぜこの人だけ?


そしてパタンとドアが閉まり、わたしと涼ちゃんとお父さんと夢斗さんだけが残った。



「早速本題だが、夏稀と夢斗は同室で過ごしてほしい。いやもうこれは決定事項なんだ。すまん」