ー理事長室


「じゃあ、まずこの学校について説明しよう」



お父さんは一流大学を出ていて全国有数の頭の持ち主で、色々な面で信頼が厚い。


だからお父さんの説明はよくわかる。


まず、この学校は小等部から大学部まであって、大体の人は小学部から入学しているという。

中等部からの入学っていうのは10年に一度はあったらしいけど、高等部からの入学は一度もないという。

中等部からの入試は難関で、ましてや高等部からは絶対不可能と言われている。

中等部からの入学した人は天才と呼ばれ、卒業した後も海外進出してるらしい。


「ちょっと待ってお父さん」


「何だ?」


「高等部から入学したわたしはお父さんがそうさせたの?」


「いや。そうではない。一ヶ月ほど前にテストを受けさせただろう」


「うん。あれがもしかして入試だったの?」


「あぁ、そうだ」


あ、そうだったんだ…。

でも、あれくらいの勉強だったら、ここの授業にはついていけるかな。


と、ホッとしたその時、



「失礼します」


ガチャっとドアが開く音がした。


ドアが開くと懐かしい面影の人物が入ってきた。



「涼ちゃん!」



「!?」



「涼ちゃん!わたしだよ?わかる?夏稀!…覚えてる…?」


「は?夏…稀?いやそんな…夢か?…
ここは男子校で夏稀は女の子だし…」


「早乙女夏稀!本物だよ!」


「え?夏稀なの…か?」


「うん!」


「何でお前がここに…」


「それは私が説明しよう」


黙っていたお父さんが口を開いた。


「昌彦さん…これはいったい…」


お父さんの名前は昌彦 マサヒコ

家が近くてよく遊んでいた涼ちゃんとは、家族ぐるみの付き合いで、涼ちゃんはお父さんに憧れてこの盟央に就任したという。



「夏稀には異性を克服してもらえるようにこの学校に通ってもらうことにしたんだ」



「…はっ?( ゚д゚)」



…涼ちゃん。顔が崩れてるよ…。


まぁわたしも最初聞いたときは驚いたけどさ…。


「そういうことで明日から…」


「ちょっと待ってください!」


お父さんの声を涼ちゃんが大きな声で遮った。


いつもは大声なんか上げない涼ちゃんに少しビックリした。


「なんでこんなところに夏稀を…。克服なら他にもやり方があるはずです」


「…これが一番効率的だと思ったからだ」


「夏稀の意思は無視するきですか」


「…夏稀は承諾してくれた」



「そんなの…」



ーコンコン


今度は涼ちゃんの声を遮ってドアの叩く音がした。


「来たか。入れ」


お父さんがそう指示するとガチャっとドアが開いた。