夏稀side


今、わたしは少し小走りで走っています。


理事長室を出て夢斗さんのあとをついていこうと思ったら、夢斗さんはもう数十メートル先にいた。


追いかけるけど私の歩く歩幅じゃまた離されてしまうのです。(泣)


だから今わたしはジョギング状態。


夢斗さんは背が高くて、脚が長い。
185センチ以上はありそう…



ててて、と小走りするわたしを夢斗さんはちらりと見て立ち止まった。


「お前…」


ひっ!急に話しかけられてびっくりしました。


「…は、はい。な、なんでしょ…うか?」



な、何言われんだろ。こ、怖い!



「名前なんだっけ?」





は、はい?…なな、名前ですか…?



「えっと、早乙女…夏稀、…です」



話せた!お父さんと涼ちゃん以外で一対一で話すの何年ぶりだろう…!


なんて、一人でジーンと喜びを噛み締めていると、またまた夢斗さんがわたしを見つめてきた。



「お前、女みたいだな」