章も「よろしくお願いします。頼りにしてます」と言って頭を下げる。

1階に到着し男2人がスタスタ歩く中、原田さんが私に耳打ちする。

「瀬崎さんいいオトコじゃない?どうなの?」

「・・・ま、仕事はかなりできますよ」

そう言うと原田さんはにやぁと笑った。

「まなちゃんぐらいの子は、頼れる年上のオトコがいいわよ、彼みたいな」

「・・・瀬崎さんとはタメですよ」

「え、そうなの?落ち着いた口調だからてっきり年上かと思った」

私だけがわかる話だが、章の口調は章のお父さんそのものだ。


すると原田さんは、んーと言って唸りはじめる。
「ま、本社から来たんなら頼れるオトコでしょう?」

「・・・どうなんでしょうかね」

そう言うと、原田さんはため息をつく。
「はぁ、ちっとも興味ないんだから。一応心配はしてるんだからね・・・」

そう言って原田さんは1歩前を歩き出した。


原田さんはいつも私を心配してくれる。
「みーんなまなちゃんを女王女王言うけど、人一倍頑張ってるだけなんだから!
 男共!しっかりしろ!!」と言って、酔っ払った勢いで部長に説教をしていたことがある。
仕事は違えど、私を支えてくれるうちの1人だ。