夕方、雨が上がった。
季節は梅雨の時期に入っている。

ふと窓の外を見ると、綺麗な夕焼けが広がっている。
雨の途切れ目の夕焼け。
まるで今日の仕事のよう。
今日は仕事が片付いたので、久しぶりに定時に帰れるのだ。


どうやら章も仕事が終わりそうで、『そろそろ帰れるから待ってて』と連絡がきた。
私は後回しにしてもいい仕事をしながら章を待っていた。


「お疲れさまですー」
6時を少し過ぎた頃、章が帰ってきた。
「お帰りなさい。とは言え、私は上がりますけど」
資料をガサガサ片付けながら、私はちょうど今から帰る準備をするんです的な素振りをする。

「あ、俺も帰るよ。途中までご一緒しましょう」


「あ、私も出ますよ。一緒に出ましょう!!」
田野畑さんだ。
田野畑さんは私鉄なので、どっちにしろ駅で別れることになる。


「じゃぁ、みんなで駅まで行きましょうか。準備してください」
そう言いながら私は筆記用具を片付けて、鞄の中にしまう。
立ち上がった頃には、既に2人の準備はできていた。