朝食を食べながら、私達はいくつかの約束をした。

あくまで会社での態度は変えない。
付き合ってることは、誰にも言わないこと。
(バレると橋本が不憫すぎる・・・我ながらだが)

なるべく朝食は一緒に食べて、今日の予定を話す。
早く帰ったら、帰った方がごはんを作る。
章が遅くなる日は、私は自分のマンションの方に帰る。


まあ想像できる範囲での、私達の行動パターンを当てはめてみた。


「ちゃんとバレずにできるかなあ」と章がぼそっと呟く。

それが言いたいのはこっちだ。
「なるべく、さあ・・・ちょっかいかける頻度、減らして」
毎日心臓が持たない思いをしていたのだ。
正直ボロが出そうで・・・ちょっと恐い。


「別に俺はバレちゃってもいいんだけどね」と章は意地悪に笑った。
それはおおいに私が困る。


「なんとかしてよね。じゃあ私先に出るよ」
私は山手線の定期しか無いので、新宿駅まで歩く。徒歩15分ぐらい。

立ち上がると「ほら」と合鍵を渡される。

「今日印刷会社行くんでしょ?俺もクライアント会いに行くから、昼飯誘うよ」
そう言ってそっと頬にキスして私を送り出す。


やっぱり章は欧米人化してきている。
ドキドキを歩く事で押さえながら、私は会社に向かった。