悪魔の運動会



バスがゆっくりと止まった。


扉が開き、先生が立ち上がり、そして下りていく。


なぜだかそれを、私はスローモーションでも見ているように、ただ眺めていた。


それでも確かに聞こえてきたんだ。


「もう着いたのかよ⁉︎」と野次が飛ぶ中、はっきり聞こえてきた。


バスから下りていく間際、先生は私に、いや、私たちに言った。


____すまない」


と。


「あれ?ガッキーなんか外に居ねー?ションベン?」


そんな声に、クラスメイトが窓際に集まる。


誰かが冗談を言い、それにウケた笑い声がバスの中に広まった。


「あの、運転手さん?」


私は少し腰を浮かして、バスの運転手さんに声を掛けた。


少し大きな声で。


それは、目の当たりにした【あってはならないこと】を打ち消そうとしたのかもしれない。


けれど、私の努力はさらなる【あってはならないこと】に飲み込まれた。


いともあっさりと__。


「っ‼︎」


足の力が抜けて、ストンと座席に腰を下ろす。


再び手に力が込められたのは、私がリカの手を握ったからだ。


今度は私が、潰れるほど強く。


なぜなら運転手が___。