もうあと、10歩ほどだろうか?
ゴールが迫っている。ゴールという名の、別れが。
涼子とは結局、1度も同じ組にならなかった。
それでも、心と心が強く繋がっていると思えた。
無記名投票。
たとえどんな時も、誰にも投票しない。それは結果的に、自分に1票を入れることになる。初めて涼子が無記名投票をした時、それは俺に向けてのメッセージだと思った。
だから俺も、無記名投票をしたんだ。
その1票が、自分を落とすことになったとしても。
正直、気持ちが揺らいだ時もあった。でも涼子は、その真っ直ぐな姿勢で信念を貫く。だから離れていても、いつもすぐ近くで寄り添ってくれている気がした。
俺と同じことを、涼子が少しでも感じてくれていたらいい。
「直人、一緒にゴールしよう」
「そうだな。一緒にゴールしよう」
俺たちは、互いの手を強く握った。
弱気になってしまった時、俺の目を覚ましてくれたのも、隣にいる木崎涼子だ。
俺の1番、大切な人。
俺が1番、守りたい人。
一歩ずつ、別れの時間が近づいている。
もう手を伸ばせば、ゴールテープに触れることができる距離だ。
2人で同時にゴールをする。
でもごめんな、涼子。
本当に、ごめん。



