【安藤直人】
「なんで、どうして樋口が__⁉︎」
倒れて動かなくなった美咲の側で、うさぎが両膝をついている。
失格ということは、撃たれた?
生死を確認し終わったののか、うさぎは静かに抱き抱えて立ち上がった。
「失格は俺じゃないのか⁉︎俺を撃てよ‼︎俺を__」
胸を叩いて示すも、事態は何も変わらない。
スタートラインに立たなかったばかりに、美咲が撃たれて失格となった。
俺が、俺が__。
「早く殺せよ‼︎俺を早く殺せ!」
声を張り上げるが、それはどこにも届かない。
何事も無かったように、次のアナウンスが流れる。
「それでは、紅白最後に残った2名でグラウンドを一周走って頂きます。先にゴールした組を、即ち、先にゴールした者を、運動会の勝者とします」
最後のレース。
それは、木崎涼子との一騎打ち。
紅白の数合わせのために、美咲は撃たれたっていうのか⁉︎
そんなバカな話って__。
「俺は走らない。だから、だから俺を撃てよ‼︎」
「直人__」
涼子は、泣いていた。
共にずっと戦ってきた美咲が撃たれたからか、俺と競いたくないのか、そのどれも含めた涙かもしれないし、そのどれとも異なる涙かもしれない。
ただ涼子は近づいてくると、俺の頬を打った。
泣きながら、打ったんだ__。



