悪魔の運動会



【木崎涼子】


撃たれる⁉︎


そう思った。


直人は、いつもの自分を見失ってヤケになって挑発している。


でもそれは、人一倍、責任感の強い直人からしたら、当然のことかもしれない。


誰1人、救えなかったことがそうさせているんだ。


カウントダウンが終わった後の静けさは、異様だった。


心臓を、凍てついた手で握りしめられたようで。


「な、直人⁉︎」


「来るな‼︎」


私を遠ざけようとする。


恐らく、銃弾に巻き込まれないようにだろう。


そんなことは関係ない。


どれだけ直人が私を遠ざけようとも、私は離れない。


絶対に、離れない。


「来るな‼︎」


ゆっくり近づいてくる私に向かって、首を振る。


それでも私は足を止めなかった。


盾にもなる。一緒に槍で突かれてもいい。離れるなんてことは__。


ドサッ。


私は、足を止めた。


視界の端が、静かに揺らいだ。


樋口美咲が倒れている。


どうして?


どうして美咲が?


バトンを持ってスタートラインに立っていた、誰より生を渇望していた美咲が__どうして⁇


やがて、静かに告げられる。


「樋口美咲、失格」


と。