「10」
カウントダウンが始まった。
「9」
俺は動かない。
「8」
何があっても、もうここから動くことはない。
「7」
「直人‼︎」
「6」
「来るな‼︎」
「5」
心の中で、旬に謝った。
「4」
次に相原に謝った。
「3」
助けることができなかった、みんなに謝った。
「2」
ズルいのは分かっている。
すまない。
静かに俺を見つめている、樋口美咲に謝った。
美咲はそれでも、戦おうとしている。どれだけ苦しい現実が待ち構えていても、生きようとしている。
でも__ごめん。
そして涼子に謝った。
雨なのか涙なのか分からないが、そんな悲しそうな顔をさせて、ごめん。
「1」
不甲斐ない俺で、ごめん。
「0」
カウントダウンが終わった__。
全ての音が、消えた。
いつの間にか、雨が止んでいたからだ。
時が止まったように、息遣いさえ聞こえない。
「安藤直人がスタートラインに立たないため、失格」



