もうやる気がないのか、後ろを振り返りもしない。
「おいブタ‼︎」
罵っても知らん顔。
それならそれでいい。吹っ飛ばしてやるまでだ。ようやく、終わりなきリレーも終わる時がきた。
俺だけがバカみたいに走って、後のやつらは手加減する。
この運動会は、そんな甘いもんじゃない。
最後の1人になるまで続くんだ。
あのデカ女を爆破し、安藤を仕留め、残りの女どもを血祭りに上げてやる。
勝つのはこの俺、俺様だ。
「爆発しやがれ‼︎」
あと一歩で、こいつに失格者の引導を渡せる。
女のくせに、俺よりデカくて俺より力の強い、目障りな立花薫を葬り去るんだ。
もう、こいつは諦めている。
今更、俺から逃げることはできない。
残念だったな。
鼻で笑って、その一歩を踏み出した瞬間、薫が振り返った。
そして、俺を抱き締めた。
「なっ⁉︎は、離せ‼︎」
すっぽりと薫の腕に包み込まれる。両腕もろとも抱きつかれ、前にも後ろにも動けない。
「おいブタ‼︎さっさと離せ‼︎」
頭1つ見上げ、力いっぱいもがくも、さらに締め付けられていく。
俺を見下ろす立花薫が、薄っすら笑った。
「あんた、よく見るとイケメンだよね?」



