【戸田裕貴】
同じ過ちは繰り返さない。
俺だって馬鹿じゃない。スタートラインに立ちはだかる、次の走者の樋口美咲。同じ組であるはずの、木崎涼子がその隣で壁を作る。傍らには安藤が居た。
俺からバトンを奪う手はずは整ったというわけだ。
さっきは安藤の不意打ちに捕まったが__。
「どけ‼︎」
睨みをきかせたが、美咲は怯(ひる)まない。
この女、こんなに強(したた)かだったか?ただ見てくれだけを武器に男を見下していると思ったが?だが、それならそれでいい。今度こそ吹き飛ばしてやる。
どいつもこいつも、俺の邪魔しやがって‼︎
このまま俺が立花薫を追い越せば、紅組は安藤1人になる。つまり、壊滅に追い込む絶好のチャンスだ。
それなのにこいつらは、いつまで経っても仲良しごっこ。
そんなんじゃ、死ぬまで走らされるだろう。
なにがクラスメイトだ、甘っちょろいんだよ。
生意気に俺を睨み返す美咲に、突進する。視界の端から、安藤が飛びかかってくるのが見えた。
俺はとっさに、木崎涼子の腕を掴んで引く。
バランスを崩した木崎が倒れこみ、安藤の意識がそれるのも計算済み。それでも手を伸ばしてくる美咲を押しのけ、壁を突破した。
あとは__あいつを追い抜くだけだ。



