【安藤直人】
一瞬の静寂のあと、再び悲鳴がこだまする。
森本瞳が銃殺され、一度は校門に駆け出したクラスメイトだったが、今度は和田翔平が感電死するのを目の当たりにすると、一目散に引き返してくる。
ただ悲鳴を上げ続けるもの、手を取り合って逃げようとするもの、恋人の遺体を抱き抱えて咆哮を上げるもの、助けを求めて叫び声を上げるもの、パニックは感染していった。
しかし逃げ道はない。
どこかに綻びはないと金網に近づくものには、容赦ない弾丸が浴びせられ、それがまた恐怖となって伝染していく。
行き場をなくした3年C組は、収拾がつかない状態と化していた。
それを止めるのは、俺しか居ない。
この俺しか。
「みんな‼︎動くな‼︎その場から動かずに、そこにしゃがめ‼︎その場にしゃがめ‼︎」
張り上げた声は、どこまでも突き抜けていく。クラスメイトの我を見失った心にも。
「みんな‼︎安藤君の言う通りにして‼︎」
負けじと副委員長の相原も声を張り上げてくれた。親友の間宮旬と、心を許し合っている木崎涼子も声を限りに叫んでくれた。
やがて喧騒が下火になっていく。



