【木崎涼子】
もう、直人とは会えないと思った。
てっきり、相原さんは私に投票したのだと。
それでも私は、無記名投票を貫き通す必要があった。
私は手を下さない。
それなら自分が失格となる道を選ぶ。
そう決めたからだ__。
あと5人。
もし、もし私と直人が残ったら、どうなるのだろう?
私は直人と争うことができるのか?
直人は私と競うことができるのか?
投票ならいい。
2人して永遠に無記名投票を続けるだけ。
直人は途中で、分からないように私の背を押すに違いない。
そっと優しく。
でも力強く。
そうなる前に、私は押せるだろうか?
そっと優しく。
力強く。
__雨?
細かい雨粒が、校庭に降り注ぐ。
きっと直人も今、この雨を見上げている。
きっと__。



