後から俺を追いかけてくる、いくつもの足音が聞こえてくる。
今さら逃げ出してももう遅い、足音だ。
でも俺は絶対に振り向かなかった。
その一瞬の動作すら命取りになる。ただ真っ直ぐに、目の前の校門を目指す。
その時、前方の地面が跳ね上がった。
砂埃が鋭く散っていく。
__撃たれる⁉︎
相手はどこか遠くから、瞳を狙い撃ちした。当然、1番に逃げ出した俺をターゲットにするだろう。
だから俺は、左右ジグザグに走った。それもまた、俺が培ってきた筋肉たちがそう判断したんだ。お陰で、狙いが定まらずに砂埃だけが舞い上がっていく。
大丈夫、間に合う。
あの校門さえ越えれば。山を下って助けを呼ぶ体力はある。
ただ一つ問題なのは__。
フェンス。
四方に張り巡らされた金網のフェンスが、校門の向こうにそびえ立っている。ゆうに3メートルはあろうフェンスに飛び上がり、もたもたと金網をよじ登っていては、狙い撃ちされるはずだ。
チャンスは一回。
飛び上がり、フェンスを掴み、一回で乗り越える。
フェンスを掴んだところを撃たれることはない。相手は恐らく、俺のジャンプ力を想定し、すでに狙いを定めているからだ。
でも残念だったな。俺は、走り高跳びの選手だ。
そうほくそ笑みながら、勢いそのままにジャンプした___。



