【相原友子】
二階の教室から立花薫が見ているなんて、私は思いもよらなかった。
猿の前で佇む私を見て、必死でうさぎを引っ張っているなんてことも。
ただ、薫は勘違いしている。
お題を引いて探し、または借り、再び猿のところに戻ってきたわけではない。
私はずっと、ここに居る。
ここに居て、動けないでいるんだ。
自分のことを差し出した、樋口美咲みたいに。もちろん、私も【1番、落としたいやつ】を私なのだと言ってみたが、すげなく却下された。
それなら、適当に誰か引っ張ってこようか?
味方チームが不自然なら、相手チームの安藤くんでいい。
彼なら、私がそんなことツユほど思ってないことは分かってくれる。それに、相手チームのリーダーだ。この中では1番、自然な選択じゃないか?
でも__と、引っかかる。
決選投票で、彼を救った事実が横たわっていた。それに、もちろん本心でも何でもない。
軽く誤魔化せばいいなんて、いい加減な性格だったら良かったのに‼︎と、我が人格まで呪い始めていた。
薫が戻ってくるのは時間の問題だ。
どうしよう__。
このままじゃ負けてしまう。
私が1番、落としたいやつは?
落ちればいいと思う相手。
居なくなってしまえばいいって__。
私は無意識に、ポケットに手を突っ込んだ。
そこには、くしゃくしゃに丸められた紙が入っていた。
あるお題が書かれている、安藤くんが引いた紙。
見ないと決めたはずなのに__。



