【立花薫】
校内を駆けずり回りながら、私はお題を開いた。
【耳が大きくて、目が大きくて、歯が出ていて、ヒゲか生えている、みんなのアイドル】と書いてある。
こういう時に限って、ライオンやら犬やらのどうでもいい動物たちとしかすれ違わない。
私が探しているのは、これじゃない。
私が探し求めているのは__。
「居た‼︎」
声を上げると、うさぎが振り返った。
そしてなぜか、逃げ出した。
「ちょっと!待ってよ‼︎」
慌てて追いかける。
捕まえればいいだけじゃない。捕まえて、猿のところまで連れていかなくてはならない。
相原友子がどんなお題を引いたか分からないが、もたもたしていると負けてしまう。
「待ちなさいよ‼︎」
着ぐるみは走り辛いのか、二階の教室に逃げ込んだところを難なく追いついて腕を掴んだ。
あとはこのまま引っ張っていけば__。
引っ張って⁇
動かない。
うさぎは、1ミリたりと動きはしなかった。
その場に踏ん張り、それを引きずろうとする私との押し問答になる。
足はそれほど速くはないが、力は大人の男だ。いくら私でも軽々と持ち上げるわけにはいかない。
「早くしないと負けちゃう__?」
ふと窓から校庭を見ると、相原友子が猿と向かい合っているではないか‼︎



