ギュッと涼子を抱き締めて、そう言った。
「うん」と、俺の胸の中で頷く。
本当ならあと5分、いや1分でいい。
もっとこうしていたかった。
でもそれは、帰ってからすればいい。
そうだ、それだけのことなんだ。
「そろそろ行くか?」
「そうね。イチャついてると思われるかもしれない」
「それならそれでいいけどな」
「ちょっとイチャついたしね」
さすがに教室から出る時には、繋いでいた手を離した。
離す前にもう一度、強く握り合ったが__。
涼子は猿に縦笛を差し出した。
正解音が鳴る。
その後、すぐに俺は涼子そのものを引き寄せた。
「俺の探し物」
と。
顎に手を当てて思案している様子の猿だったが、やがて正解となり、2人揃って最後の走者へと繋ぐ。
みんな興味深げにしていたが、あえて俺のお題が何か尋ねては来なかった。
「結局、アンカー勝負ってわけね」
立花薫が立ち上がる。
少し遅れて、相原友子も立ち上がった。
俺は薫に「頼んだぞ」と声を掛け、その向こうの相原にも頷いた。
とても敵だなんて思えない。
相原は、いつだって俺の味方で俺を支えていてくれたから。
ただ、いつものように笑顔で頷き返してくれた相原の
手が、激しく震えていることに俺は気づいていなかった__。



