【安藤直人】
涼子は教室に駆け込んでいった。
探し物が分かっている、確かな足取りだ。
その後を追った俺だったが、涼子は居ない。一体、何処に__?
「涼子‼︎どこだ!」
教室から教室を探し回ったが、姿が見当たらない。
まさか、何かあった?
「涼子‼︎」
名前を呼んで二階に上がった。
ちょうど、目の前の音楽室から、涼子が出てくるところだった。
その後ろから、大きなうさぎも一緒だったが。
「直人?」
「おい、大丈夫か⁉︎」
涼子を引き寄せ、うさぎを睨みつける。
「いいの、探し物を見つけてくれたから。それより、私を探してたの?」
「ん?ああ、俺の探し物だからな」
2人で階段を下りる。
繋いだ手に力を込めるくらいいいだろう。
競い合っている敵同士とはいえ、まさに俺が探し求めていたのは、木崎涼子そのものなんだから。
「直人のお題は?」
「俺のは__内緒」
「内緒なの?」
「ああ、帰ったら教えてやるよ」
何気ない言葉が、自然と出てきた。
何気ないけれど、とても大切な言葉。
それは涼子の前だからこそ出てきたわけで、涼子がそれに過剰反応することはない。
俺たちはいつも敵同士。
ゆっくり話す暇もなかった。
やっと訪れたチャンスだが、まだ勝負は終わっていない。



