【木崎涼子】
机にもロッカーにもない。
どの教室にも、お題に書かれてある物は無かった。
あと考えられる場所は__?
「そうだ」
私は走った。
でも場所が分からない。
音楽室の場所が私には分からない。
とりあえず二階に駆け上がった。
奇跡といってもいい。
すぐそこに「音楽室」と書かれたプレートが見える。
迷うことなく中に飛び込んだ私は、ハッと立ち止まった。
そこに、うさぎが居たからだ。
満面の笑みを浮かべた、不気味なうさぎ。
微妙な距離を取り合って、お互いから一時足りと視線をそらさない。
そしてうさぎは、ゆっくりと教壇から何かを取り出した。
あれは__【ヘビを眠らせることができる楽器】だ。
私が探し求めているもの。
両手で笛を吹く振りをしている。
お前の欲しいものはここにあるのだと。
欲しければ、取りに来いと。
取りに来れるものならば。
今頃、直人が走り回っているはずだ。早くしないと、早く次の相原さんに繋げないと、負けてしまう__。
私が一歩、張り詰めた均衡を崩そうとした時。
うさぎは縦笛を、そっと教壇の上に置いた。
これは罠?
でも私にはあれが必要だ。
たとえ罠だとしても、あれを持って戻らないといけない。
意を決してゆっくりと近づく。
手を伸ばせば、笛を掴むことができる、ただそれは、うさぎが私の腕をへし折ることもできるということ。
私たちは当時に手を伸ばした。
笛を掴み取った私の手を、うさぎが強く掴んだ__。



